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なぜ「#SNSで人吉よさこい祭り」は成功したか

2020-03-16 (Mon) 16:47

【目次:第1回 ― 第2回 ― 第3回】

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ツイッターを会場として開催された"エア”よさこい祭り「#SNSで人吉よさこい祭り」に心が震えた、沸き立った。平たく言えば感動した。それを言いたいだけなのに、3回に渡る長文になってしまった。でも、もうちっとだけ続くんじゃ。続くのか。

これまでの2回をまとめると、こう。
1,他愛ない毎日の積み重ねが、万が一のときの力となる。
2,よさこいは戦後復興と市民の笑顔を願うためにできた新しい祭りだった。

■九州・山口のよさこい

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まずは僕の周辺のよさこいについて記す。
とは言え、前回述べたとおり「部外者」として遠巻きに見た程度の九州・山口のよさこいに限ります。

よさこいチームに所属している妻子の付き添い(交通手段、荷物持ち、次男3歳の見守りw)でよさこいのイベントに行くと、いつも同じことを思う。
「またあのチームが参加してる。あ、このチームもまたおる」

どんな遠方のよさこいイベントでも「いつもの」チームが「たくさん」いるという恐るべき事実。
鹿児島でも宮崎でも福岡でも、同じチームがたくさん参加しているのだ。

多くの踊り子にとってよさこいは趣味だ。だから手弁当だ。出演料をもらうどころか、むしろ踊り子たちが参加費を払って参加していたりする。
他にも交通・宿泊費、参加費、衣装代、普段の練習台等かなりの私財を投じているはずなんだぜ?

(これはよさこいが全国に普及した大きな理由の一つであると同時に問題点とされている。踊り子側に負担をお願いすることで主催者側は低リスクで賑わいづくりができる。だから多くのイベントでよさこいが呼ばれたりする。踊り子が楽しんでいるうちはそれもよいが、行き過ぎると踊り子は疲弊する。どうマネタイズするか、これはよさこいの課題とされている。…が、それはそれとして)

にも関わらず、どのイベントに行っても「いつもの」チームが「たくさん」いる…何コレ。
金がかかるのに毎回いる。遠方のイベントでもいる。どういうことだ。
普段は節約生活でよさこい貯金をしているのか、逆に金持ちの道楽なのか。いずれにしてもどれだけ自分に投資しているんだよ。
そう思っていた。でも違うんだよね。踊り子たちは自分「だけ」のためではない。単なる趣味人ではなく、もうちょっと湿度が高めというか、踊り子同士が情で繋がっている感じ。

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というのは、どのよさこいイベントでも、チーム同士お互い声を掛け合いまくるのだ。
さらに、遠方のイベントに複数のチームが同じバスで乗り合わせて駆けつけたり、イベント前夜には毎回交流会で盛り上がったりもしている。

そもそも今回の「#SNSで人吉よさこい祭り」の発起人は「九州男組」というチームだが、これはチーム・地域の枠を超えて九州内の男性有志で結成してる超党派的チームだ。ラグビー日本代表みたいな。
女性版の「女子衆(おなごし)」というチームもある。他にも旗使いの集まり「九州旗士連合 九旗団(くきだん)」や、わがまち北九州市にも同様の形で「向日葵」というチームがある。
それだけでなく、自チームと別に他チームに(ヘルプとして)所属したりもする。

九州あたりでは一人で複数のチームに関わることは珍しいことではない。たぶん。
おれがおまえで、おまえがおれで。超キョウリョクプレーでクリアしている。(エグゼイド)

だからもうね、仲間感が凄い。「総踊り」前からノーサイド。うちの息子どももどこに行っても名前を呼び捨てされとるくらい身内感www
でもそういう関係って、わりと「うちら」以外には排他的になりがちじゃない? 
しかし、多くのよさこいイベントが、よさこいに興味のない地元住民にとっても「地域のイベント」として楽しみの場となっているから大したもんです。よさこい関係者の地道な努力の賜物だと思う。

ただやっぱり資金繰りが苦しくて、最期を迎えたよさこいイベントが多々ある。今後の継続が危ぶまれるイベントも多数あると聞く。
だから、だからこそ彼らは互いに行き来する。
「私達の町のイベントにあのチームが来てくれた。じゃあ私達もあのチームの町のイベントに行きましょう! 普通に行きたいし!」

これが少なくとも僕の周りのよさこい関係者の姿だ。

■そして「#SNSで人吉よさこい祭り」へ


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「#SNSでよさこい祭り」は主催者でもない九州男組の「思いつき」から始まった。これにすべての参加予定チーム(60チーム以上)が乗っかった。
信じられない? 奇跡的? いや当然でしょう。

主催者でもないチームがこんな企みを思いつくことも、関係者が嬉々として参戦することも下地があったのだ。全員にとって「私(おれ)たちの祭り」だった…!
単なる「祭りバカ」の悪ノリで開催・参加してると思ってたでしょ。違うんだからねっ!(違わないか。悪ノリも多分にあると思うw)

この企画を知ってツイッターのタイムラインを見た僕はもう即・胸熱、目頭熱。
「本物」の祭りが目の前で行われていたから。

当日のプログラム表を見て、贔屓チームの登場を待ちつつ、ご飯食べたりしながら他のチームの踊りを見る僕ら観客。
時間を逐一チェックして、スタンバイしつつ他チームの演舞を楽しむ踊り子たち。
モニターの前なんだけど、気分はもういつもの祭りの感じ(つまり、うわついてるw)。

そして定番の「総踊り」や「主催者挨拶」までちゃーんとあってさ。
おれさ、人吉にいるのかと思っちゃったwww

■宴のあと


大会後のこのツイートがこの祭りを象徴している。


素晴らしいじゃないか!!
同時に当然!とも思った。それほどに本物の祭りだった。決して"エア”や"再現”ではなかった。

よさこい祭りは「戦後復興と市民の健康や繁栄を願う」ことを起源としていた。
そうであるなら、やはり今回の祭りは正式に第4回大会の名に恥じない。むしろ王道を歩んでた。
新型コロナウイルスの影響で暗くなったり刺々しくなったりしがちな今、当事者はもとより、これまではよさこいと無関係の市民の気持ちまであたたかくしたのだから。

もちろん「戦後復興と市民の健康や繁栄」とは、気持ちの問題だけでなく、リアルに金の問題を孕んでいると思う。
けれど、SNSを見て人吉に行った方がいたり(3/9 西日本新聞朝刊)、僕の知人でも改めて新ためて人吉市に興味を持ってググったやつがいたりした。こうした事実を大切に育てていきたい。
よさこい関係者もよさこいファンも、これを機にもっとマネタイズを考えていければいいよね。持続可能がどうのこうのですよ。

でもマ、とりあえずはアレだ。今言いたいのはコレだ。

おまえらバカだな。バカすぎ、祭りバカ!! 最高だ。
関係者のみなさま本当にありがとう。楽しかった。面白かった。
よさこい大好きや!!

長いラブレターとなりましたw
来年が(も)楽しみだ。 


関連リンク
▶人吉よさこい祭り 公式Facebook
▶SNSで人吉よさこい祭り 会場(Twitter)
▶「#SNSで人吉よさこい祭り」をまとめてみた togetterまとめ

▶人吉よさこい銀翔会(人吉よさこい主催者)公式Facebook
▶熊本県立大学自主グループ「未来創士」(同主催者)公式Facebook
▶九州男組(#SNSで人吉よさこい祭り 発起人)公式Twitter 公式Facebook

【目次:第1回 ― 第2回 ― 第3回】

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最終更新日 : 2021-04-01

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