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サファリは私の原点

2012-11-24 (Sat) 00:02

「ひろば北九州」内の連載の書き写しシリーズです。
始めた理由は→コチラ。マようするに自分のためwwwwww


今回は「ZOOっとそばに到津の森」(「ひろば北九州」2010年9月号)分!

西村さんキター! 実は西村さんってたぶんいちばんお話をしたことがあるスタッフさんやと思います。
僕が今ほど動物園動物園と騒いでないころ、ふつうにデートをダシに動物を使っていたころに、けっこう接したことがあるのです。園内の植物を「これ食べれるんですよ(パクリ)」とか、「実はこっちから見ると動物がこんな近くに、ホラ」とか、けっこう衝撃の情報を毎回出会い頭にドカドカぶつけられました。マ向こうは憶えていないでしょうけども。
とにもかくにもあれらの衝撃が僕の動物園好きの肥やしとなったに違いない<元凶>です。失礼な!!

この文章もドカドカぶつけてきます。
日本車が売れたからサファリブーム!てのは、当時は当たり前の認識だろうけど、今聞くとなるほどーて思いますね。
いやそんなことよりラクダの暴君だ。何コイツラすげえ!

マンガでもだいたい図々しく(ある意味気高く)描かれるラクダさまですが誇張じゃねえ!! むしろ控えめだったのか。ジャイアン過ぎワロタwwwww

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「サファリは私の原点」
文:到津の森公園 飼育展示係主任 西村武文


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 ジメジメした蒸し暑い夏も終わりに近づいた。人も動物もこの暑さにはもうウンザリ気分だが、トラやライオンは木陰で暢気(のんき)に昼寝。セイロンゾウにとっては大好きな季節が終わりに近づいている。

 私は佐賀の生まれで両親は有明海の漁師。高校卒業後、山口の自然動物公園サファリランドへ就職した。もう30年も昔のこと。今では考えられないほどその頃は景気が良く、日本車がガバイ売れた。その影響か、全国にサファリブームが広がった。檻(おり)や柵で囲まれた動物園と違い、動物を放し飼いしているサファリは、バスや乗用車のガラス越しに動物が見られる。

 私の担当はアフリカゾウやダチョウなどの草食獣セクション。ジープに乗って颯爽と仕事場に行くと、エサ欲しさに100頭以上の動物が近寄ってくる。ロバやシカなど人馴れした動物は反応がいい。その広報から全身泥だらけのアフリカゾウやシロサイの群れが近づく。すると暴れん坊のシロサイが辺りの動物を蹴散らし、エサを独占する。一見大人しそうな草食動物でも、安全な距離を保ちながらエサを求めないと、衝突が起き、命を落とすことがあると後で知った。
 サイに追われながら、ゾウの群れが戻ってくる。2メートルほどの高さの仔ゾウの群れだ。私は近づいてきた仔ゾウの体を恐る恐るさわる。皮膚はゴツゴツして硬い。頭をさわった瞬間「痛い!」と叫んだ。針のような剛毛が手に刺さり、血がにじんできた(ちなみに到津のセイロンゾウは、アフリカゾウとは違い、皮膚が柔らかく毛が長いため手に刺さることはない)。その後、仔ゾウの群れは泥だらけの鼻で私たち新人のまっさらな制服を次々と汚していった。飼育員としての最初の一日だった。

 100頭以上の動物を同じ場所で管理することは、飼育員にとって毎日が戦いである。特に発情期。中でもラクダはとても厄介だ。

 発情したオスは、口から泡を出しながら好みのメスを追いかけ、首や足などいろいろな部分を噛む。メスが座ると、めでたくゴールイン。一見サディスティックな交尾行動だが、すべてがうまくいくわけではなく、たいていは多くのオスがあぶれてしまう。このあぶれたオスたちは、いろいろな動物にちょっかいを出す。これがとても厄介なのだ。
 ラクダの武器は噛むこと。力はライオンと同等。また、ラクダは顔に似合わず頭がいいので、単独ではなく必ず複数で相手を襲う。

 この時期、草食獣セクションは、ラクダが走って舞い上げる埃と、激しく戦う光景で、大パニックになる。見学の車にぶつかったり、ゾウやサイの群れを襲ったりと、被害者続出だ。一番の被害者はゾウ。ラクダより逃げ足が遅いため格好の餌食になる。尻尾や耳を噛まれ、泣き叫びながら逃げ惑う。しかし、サイは違う。戦獣車シロサイを怒らせるとやばい。尖った角で突かれると、ラクダはケガだけでは済まない。

 飼育に慣れ始めた暑い日、事件は起きた。その日、私はジープから降り、10頭のアフリカゾウの群れを監視していた。そこに発情した1羽のダチョウが首を前後に振りながら近寄ってきた。ダチョウは発情すると顔や足が真っ赤になり、性格が攻撃的になる。『まだ、距離があり、何かあったらジープに逃げ込めばいい』と安易に考えた瞬間、胸を突き飛ばされ、地面に倒された。上から何度も蹴られ続け、『誰か助けを』と思ったその時、水浴びをしていた2頭のゾウが大きな耳を広げてダチョウを追い駆け、鼻で追い払ってくれた。そしてその群れのリーダーは、私を守るかのように寄り添ってくれた(ゾウは、仔を守るとき、群れの中央に囲う習性がある)。
 私はこの時、自分を守ってくれたゾウの行動に感動すると同時に、初めて体験した恐怖に足が震えた。


■動物の個性の十分な把握を心がけて


 この恐怖の日から、私は動物を学術的にみることにより自身の安全を最優先に考え、動物の習性、特に個性を重点的に観察して飼育しようと心がけるようになった。

 飼育の経験を積みながら数年が過ぎ、平成元年、到津遊園(当時)で働くこととなった。先輩に案内され初めてゾウの獣舎に入った。柵は電車のレール。レールで作った柵はどこの動物園でも見たことがない。さすが西鉄、自社の製品を有効にリサイクルしている。見知らぬ者を目の前にして鼻を伸ばしながら警戒しているゾウ。『どのような性格か』観察するために安全な距離を保とうとした途端、鼻を大きく振り回し攻撃された。到津遊園での一日目であった。

 そして現在、到津の森公園では、動物飼育と同時に植栽の管理も担当している。動物たちにとって樹木や草木は密接な関係にある。
 ゾウやキリン、サルはヤマモモやサクラ、カシが好物だ。野菜や果物は業者から調達できるが、新鮮な草や葉はそうはいかない。カロリーの高い果物を与え続けると、太りやすく、病気にもなりやすい。動物の気持ちになって、美味しそうな草や葉を探して歩き回る。

 エサとしての草木に留まらず、到津の森公園では動物の周辺に様々な木々が植えられ、四季を彩る。また、ジャングルのように生い茂る。その様や移り変わりを見ていると、改めて日本の四季の美しさが感じられる。私は、植栽の管理をしながら、動物たちが美味しそうに葉を食べる姿を想像し、また、移りゆく四季折々の植物をめでる来園者の笑顔を想像して、動物に植物にと、今、格闘している。


【到津の森公園(小倉北区上到津)】
 前身は西鉄が経営する到津遊園。昭和7年開園。遊園地に併設された動物園として市民に親しまれたが、平成10年、経営難を理由に閉園方針を発表。だが、26万人分の存続署名が集まり、北九州市が引き継ぎ、平成14年、到津の森公園として再開。
 自然に、動物に、人間にやさしいをコンセプトに、約100種500頭の動物を展示。また、「市民と自然を結ぶ窓口」として、市民がエサ代などを寄付できる制度、エサの準備などに協力する市民ボランティア制度もあり、市民と一体となった動物園づくりをしている。

web http://www.itozu-zoo.jp/

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動物コワイ!ガタブル(((゜д゜;;)))ガタブル

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最終更新日 : -0001-11-30

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