2012-07-10 (Tue) 00:54 ✎
目次【前説~30分:31分~63分:64分~91分(終了)】
2012年6月16日、北九州市立子育てふれあい交流プラザ“元気のもり”にて、到津の森公園園長・岩野俊郎さんの講演会が行われました。
題して「なぜ到津の森に子どもを連れて行きたくなるのか」。

もうめちゃくちゃ面白かったので要約をアップしてやることにした。
そしてたまに見返してニヤニヤする予定。
段落先頭の数字は時間です。
つまり「1」は開始1分間に話した内容の要約、「60」だと60分目の要約ということです。
「-」(マイナス)は・・・、岩野園長ってば開始時間前にスライド流して雑談始めちゃったwwwww 慌てて記録スタートしたのですが、前半数分の内容は間に合わずいきなりマダガスカルの話をしています。という次第。園長、らしすぎる。
文章はあくまで要約。だから園長の言ったままではないところもあります。(←重要)
それから太字。これも園長が強く話したところというより、僕の「付箋」「アンダーライン」みたいなもんです。
そのせいで園長の雰囲気は出ていないかもしれないのだけど、ご容赦願います。
では、スタート。
------------------------------------------------------------------------
-7,猿の研究者である兄(注:島泰三氏)の誘いで2002年前後から5回ほどマダガスカルに行った。
-6,シファカ、インドリ、エリマキキツネザルはマダガスカルでは比較的大きなサルだが、約500年前にはもっと巨大なチンパンジー級のサルがいた。
-5,マダガスカルはもともと狩猟系のインドネシアの人がいたが、約500年前に牧畜系のアフリカの人が入り森林を焼いた。
-4,大型のサルから絶滅し、ニホンザルより小さな10kg以下のサルばかりになった。ダチョウより大きなエピオニス(鳥)も同じ頃に絶滅した。
-3,現在でも、先進国がレアメタルを求め土地を買うなど、自然林が激減中。そんな中何かつながりがもてたらと到津の森でもマダガスカルのサルを飼っている。
-2,持続継続性が大事。北九州とマダガスカルを結ぶ窓口になれば。到津の森でもシファカを入れたいが国内外ともに数が少なく難しい。
-1,ベレンティ保護区では、ワオキツネザルとシファカだけでは人が呼べないと、ブラウンキツネザルを導入するもワオとエサが競合。弱いワオが駆逐されつつある。
<ここで、岩野園長の話を無理矢理ストップwwwww 講師紹介。そして改めて、開演。>

1, みなさんこんにちは。到津の森の岩野です。40年前に到津遊園(当時)に入職、今や到津の大抵の動物より古参。入職当時、僕らは動物を「物」として飼っていた。
2, 今日は、「動物の子育てを通じて、動物園が人間の子育てにいかに関わっていけるか」、「これからの動物園の生き様」という話をする。新しい動物園像を共有したい。
3, 到津の森が子どもたちや全市民の集まる場になって欲しい。到津遊園の最後の園長として、当時閉園反対の26万人の署名を目の当たりにして、到津に思いをもってくれていたのは子どもだけじゃないと強く感じた。
4, 署名を受け、また、ますます老人が増えていく中、「子どものためだけの動物園」にギャップを感じるようになった。大人が利用できる動物園とはどんなものか。それが(「到津の森公園」の前身「到津遊園」閉園時に集まった閉園反対の)26万人の署名に応えることになる。
5, (前説で話した)マダガスカルのための事業費は、個人や西鉄が出資してくれた6000万円のみで後がない。持続継続できなければ、相手のためにも自分のためにもならない。
6, 常につきあいを維持する必要がある。今も未来もずっと見てると言えなければならない。動物をもらったら、何かしてもらったら終わりでは駄目。
7, 到津の森でも取り組みが必要。そのためには動物を「物」として見せる過去の動物園から脱却し、新しい動物園をつくらねばならない。人間は環境を変えて生きてきた中で、失ったものがある。
8, 特に日本人は「情」「感性」を忘れたのではないか。動物たちがそれらを教えてくれている気がする。「僕たちは動物より劣っている」という感覚が、僕らの進むべき道を照らしてくれるかも。
9, 動物を振り返って見ると、新しい人間の未来が見つかるかも。動物がどう生きていくのかという問いは、人がどう生きていくのかという問いと同質。2つのスライドを用意した。
10, 今年は到津の森10周年。今年は入園者数が好調。最近手応えを感じている。26万人の署名に応えるためにやってきたことが、だんだん花開いている気がする。
11, 動物を通じて、僕たちの子育てを振り返ってみたい。僕は自分の子育て自信がない。なぜかというと、僕が子どもの頃は同居の祖母や母や姉さん、近所がいたから。
12, 昔はみんなで子どもを育てる環境にあった。しかし自分の子育てのときは核家族というものに遭遇した。
13, 自分の中では悪い子育てだったとは思っていないが、会場内で三世代同居の方います? いない。親以外の足らなくなった部分を誰が補うのか。補えない。
14, 便利になったぶんだけ失ったものがある。そこで動物の子育てを見る。・・・これは森本千絵さん(アート・ディレクター)が書いてくれた到津の新しいロゴです。黒田征太郎さん(イラストレーター)も一昨年前くらいから到津に関わってくれている。

15, 一見動物園らしくない2人のデザインをぜひ見に来てほしい。新ロゴは、土の上に人間、その上にほ乳類、鳥、虫、そして太陽がある。彼女とわれわれの思いが一緒になったもの。園内マップありますか?
16, ない! 忘れたか。来園してもらってください。原画と字が黒田さん、全体のレイアウトが森本さん。ぜひ手にとって新しい到津の方向性を見てください。
17, 話を元へ。動物の子育てを見てもらいたい。群れで生活しているサルがいちばんいいだろうと。出産、育児があって次の出産の準備、が流れ。次の世代に移るための基本の流れ。
18, おっぱいを飲む生後間もない到津のチンパンジー。長い子は3、4年飲む。出産サイクルは4年後くらい。人間は長命の動物では珍しく出産サイクルが非常に短い。2年おき程度で出産する。
19, 人間も動物も授乳中のメスは生理がなく、子を生まない。出産、育児が母親に課すエネルギーは膨大。母サルは食事は子のぶんも食べ、移動時には子を乗せ、外敵からも守る。
20, ニホンザルの場合、育児は母親がぜんぶひとりでやっている。彼らは子を絶対に離さない。ニホンザルのように高度な社会を持たない群れで生活する動物は、おっぱいを飲ませると母親が子を抱くようになる。
21, 逆に子が母親に抱きつくことも重要。育児は「抱く」「抱かれる」「おっぱいを吸う」ことから始まる。子は母親から離れないことを覚え、そうでないと死ぬ。もう少し大きくなると、母親の周囲の他のサルの動きを見るように。
22, さらに経過すると同年齢で遊んだり、上の年齢の子がちょっかい出してきたりする。まもなく子はミルクを飲まなくなり母は次の出産の準備に。子は同年齢・異年齢の中で、群れとはどういうものかを体で覚えていく。
23, 最初は子同士、親との関わり合い、次に群れとの関わり合いを通して、群れでの生き方を覚えていく。到津の森でホースをかじって遊ぶチンパンジーの子がいた。周りも面白がって真似した。
24, もしこれが食べ物なら新しい食べ物を獲得したことになる。ものを伝えていくという、これが文化。気をつけるべきことは人工哺育。原則として母親は子を離さないが、もし母親から離れた子がいたら人工哺育をする。
25, 授乳の際、何かに抱きついていないと安心しない子ザルのために布を使う。これに関係してハーロー(米、1905-1981)という人の実験を紹介。サルの赤ちゃんに、布と金網からミルクの乳首だけを突き出したものを与えた。
26, 赤ちゃんはミルクを吸い終わると布を抱きに行った。つまり子は安心感を求めている。生育のためだけにミルクを飲んでいるのではない。子に必要なのは精神の避難場所、元気を充電してくれる場所である。
27, 母親が安心の場所でなければ、子は永遠に元気を充電できない。ミルクタンクが子を育むのではない。母親の役割は動くこと、ロッキングにもある。母サルが動けば、そこに抱きついている子も動く。すると子に異常行動が起きにくい。
28, ロックとは揺らすこと、心を揺さぶること。この揺れは子にとって理想的な動き。母親のもうひとつの役割は「ダメ!」と言うこと。してはいけないことを教えてくれるから、身を委ねられる。つまり頼れる。怒らない母=最高ではない。
29, 父親の役割は社会的保育。子を個別に見るのでなく群れ全体を見る。群れがどうあるべきかを正しく導けば、子は正しく育つという考え方。動物の話ですよ。
30, 大人になれない子どもとは何か。ニホンザルを人工哺育で育てると、もうニホンザルでも人間でもない。人工哺育がいかによくないかを述べる。
つづく。
到津の森公園 公式サイト
→http://www.itozu-zoo.jp/
------------------------------------------------------------------------
これから始まる人工哺育の話に、聴衆がぐーっと引き込まれてくのがわかって、見てるだけでぞくぞくした。(話聞けよ)
目次【前説~30分:31分~63分:64分~91分(終了)】
2012年6月16日、北九州市立子育てふれあい交流プラザ“元気のもり”にて、到津の森公園園長・岩野俊郎さんの講演会が行われました。
題して「なぜ到津の森に子どもを連れて行きたくなるのか」。

もうめちゃくちゃ面白かったので要約をアップしてやることにした。
そしてたまに見返してニヤニヤする予定。
段落先頭の数字は時間です。
つまり「1」は開始1分間に話した内容の要約、「60」だと60分目の要約ということです。
「-」(マイナス)は・・・、岩野園長ってば開始時間前にスライド流して雑談始めちゃったwwwww 慌てて記録スタートしたのですが、前半数分の内容は間に合わずいきなりマダガスカルの話をしています。という次第。園長、らしすぎる。
文章はあくまで要約。だから園長の言ったままではないところもあります。(←重要)
それから太字。これも園長が強く話したところというより、僕の「付箋」「アンダーライン」みたいなもんです。
そのせいで園長の雰囲気は出ていないかもしれないのだけど、ご容赦願います。
では、スタート。
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-7,猿の研究者である兄(注:島泰三氏)の誘いで2002年前後から5回ほどマダガスカルに行った。
-6,シファカ、インドリ、エリマキキツネザルはマダガスカルでは比較的大きなサルだが、約500年前にはもっと巨大なチンパンジー級のサルがいた。
-5,マダガスカルはもともと狩猟系のインドネシアの人がいたが、約500年前に牧畜系のアフリカの人が入り森林を焼いた。
-4,大型のサルから絶滅し、ニホンザルより小さな10kg以下のサルばかりになった。ダチョウより大きなエピオニス(鳥)も同じ頃に絶滅した。
-3,現在でも、先進国がレアメタルを求め土地を買うなど、自然林が激減中。そんな中何かつながりがもてたらと到津の森でもマダガスカルのサルを飼っている。
-2,持続継続性が大事。北九州とマダガスカルを結ぶ窓口になれば。到津の森でもシファカを入れたいが国内外ともに数が少なく難しい。
-1,ベレンティ保護区では、ワオキツネザルとシファカだけでは人が呼べないと、ブラウンキツネザルを導入するもワオとエサが競合。弱いワオが駆逐されつつある。
<ここで、岩野園長の話を無理矢理ストップwwwww 講師紹介。そして改めて、開演。>

1, みなさんこんにちは。到津の森の岩野です。40年前に到津遊園(当時)に入職、今や到津の大抵の動物より古参。入職当時、僕らは動物を「物」として飼っていた。
2, 今日は、「動物の子育てを通じて、動物園が人間の子育てにいかに関わっていけるか」、「これからの動物園の生き様」という話をする。新しい動物園像を共有したい。
3, 到津の森が子どもたちや全市民の集まる場になって欲しい。到津遊園の最後の園長として、当時閉園反対の26万人の署名を目の当たりにして、到津に思いをもってくれていたのは子どもだけじゃないと強く感じた。
4, 署名を受け、また、ますます老人が増えていく中、「子どものためだけの動物園」にギャップを感じるようになった。大人が利用できる動物園とはどんなものか。それが(「到津の森公園」の前身「到津遊園」閉園時に集まった閉園反対の)26万人の署名に応えることになる。
5, (前説で話した)マダガスカルのための事業費は、個人や西鉄が出資してくれた6000万円のみで後がない。持続継続できなければ、相手のためにも自分のためにもならない。
6, 常につきあいを維持する必要がある。今も未来もずっと見てると言えなければならない。動物をもらったら、何かしてもらったら終わりでは駄目。
7, 到津の森でも取り組みが必要。そのためには動物を「物」として見せる過去の動物園から脱却し、新しい動物園をつくらねばならない。人間は環境を変えて生きてきた中で、失ったものがある。
8, 特に日本人は「情」「感性」を忘れたのではないか。動物たちがそれらを教えてくれている気がする。「僕たちは動物より劣っている」という感覚が、僕らの進むべき道を照らしてくれるかも。
9, 動物を振り返って見ると、新しい人間の未来が見つかるかも。動物がどう生きていくのかという問いは、人がどう生きていくのかという問いと同質。2つのスライドを用意した。
10, 今年は到津の森10周年。今年は入園者数が好調。最近手応えを感じている。26万人の署名に応えるためにやってきたことが、だんだん花開いている気がする。
11, 動物を通じて、僕たちの子育てを振り返ってみたい。僕は自分の子育て自信がない。なぜかというと、僕が子どもの頃は同居の祖母や母や姉さん、近所がいたから。
12, 昔はみんなで子どもを育てる環境にあった。しかし自分の子育てのときは核家族というものに遭遇した。
13, 自分の中では悪い子育てだったとは思っていないが、会場内で三世代同居の方います? いない。親以外の足らなくなった部分を誰が補うのか。補えない。
14, 便利になったぶんだけ失ったものがある。そこで動物の子育てを見る。・・・これは森本千絵さん(アート・ディレクター)が書いてくれた到津の新しいロゴです。黒田征太郎さん(イラストレーター)も一昨年前くらいから到津に関わってくれている。

15, 一見動物園らしくない2人のデザインをぜひ見に来てほしい。新ロゴは、土の上に人間、その上にほ乳類、鳥、虫、そして太陽がある。彼女とわれわれの思いが一緒になったもの。園内マップありますか?
16, ない! 忘れたか。来園してもらってください。原画と字が黒田さん、全体のレイアウトが森本さん。ぜひ手にとって新しい到津の方向性を見てください。
17, 話を元へ。動物の子育てを見てもらいたい。群れで生活しているサルがいちばんいいだろうと。出産、育児があって次の出産の準備、が流れ。次の世代に移るための基本の流れ。
18, おっぱいを飲む生後間もない到津のチンパンジー。長い子は3、4年飲む。出産サイクルは4年後くらい。人間は長命の動物では珍しく出産サイクルが非常に短い。2年おき程度で出産する。
19, 人間も動物も授乳中のメスは生理がなく、子を生まない。出産、育児が母親に課すエネルギーは膨大。母サルは食事は子のぶんも食べ、移動時には子を乗せ、外敵からも守る。
20, ニホンザルの場合、育児は母親がぜんぶひとりでやっている。彼らは子を絶対に離さない。ニホンザルのように高度な社会を持たない群れで生活する動物は、おっぱいを飲ませると母親が子を抱くようになる。
21, 逆に子が母親に抱きつくことも重要。育児は「抱く」「抱かれる」「おっぱいを吸う」ことから始まる。子は母親から離れないことを覚え、そうでないと死ぬ。もう少し大きくなると、母親の周囲の他のサルの動きを見るように。
22, さらに経過すると同年齢で遊んだり、上の年齢の子がちょっかい出してきたりする。まもなく子はミルクを飲まなくなり母は次の出産の準備に。子は同年齢・異年齢の中で、群れとはどういうものかを体で覚えていく。
23, 最初は子同士、親との関わり合い、次に群れとの関わり合いを通して、群れでの生き方を覚えていく。到津の森でホースをかじって遊ぶチンパンジーの子がいた。周りも面白がって真似した。
24, もしこれが食べ物なら新しい食べ物を獲得したことになる。ものを伝えていくという、これが文化。気をつけるべきことは人工哺育。原則として母親は子を離さないが、もし母親から離れた子がいたら人工哺育をする。
25, 授乳の際、何かに抱きついていないと安心しない子ザルのために布を使う。これに関係してハーロー(米、1905-1981)という人の実験を紹介。サルの赤ちゃんに、布と金網からミルクの乳首だけを突き出したものを与えた。
26, 赤ちゃんはミルクを吸い終わると布を抱きに行った。つまり子は安心感を求めている。生育のためだけにミルクを飲んでいるのではない。子に必要なのは精神の避難場所、元気を充電してくれる場所である。
27, 母親が安心の場所でなければ、子は永遠に元気を充電できない。ミルクタンクが子を育むのではない。母親の役割は動くこと、ロッキングにもある。母サルが動けば、そこに抱きついている子も動く。すると子に異常行動が起きにくい。
28, ロックとは揺らすこと、心を揺さぶること。この揺れは子にとって理想的な動き。母親のもうひとつの役割は「ダメ!」と言うこと。してはいけないことを教えてくれるから、身を委ねられる。つまり頼れる。怒らない母=最高ではない。
29, 父親の役割は社会的保育。子を個別に見るのでなく群れ全体を見る。群れがどうあるべきかを正しく導けば、子は正しく育つという考え方。動物の話ですよ。
30, 大人になれない子どもとは何か。ニホンザルを人工哺育で育てると、もうニホンザルでも人間でもない。人工哺育がいかによくないかを述べる。
つづく。
到津の森公園 公式サイト
→http://www.itozu-zoo.jp/
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これから始まる人工哺育の話に、聴衆がぐーっと引き込まれてくのがわかって、見てるだけでぞくぞくした。(話聞けよ)
目次【前説~30分:31分~63分:64分~91分(終了)】
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最終更新日 : 2019-01-09